歯医者にとって今高額な治療費が望めるのは、インプラント治療であり、審美歯科なのだ。
仮にインプラントが廃れ、人々が口元の美しさに興味がなくなっても、この保険制度がある限り、歯医者は次なる金脈を探し、患者はそのターゲットになってしまうだろう。 ○○市のインプラント使い回し疑惑について説明してきた。
だが今の歯科医療が抱えているさまざまな問題が、この疑惑に凝縮されている。 長々とインプラント使い回し疑惑について述べてきた。
これは、最近の、しかも必かなり話題になった事件なので、知っている方も多かったであろう。 しかし、医療の世界の閉鎖性は、あいもかわらず白い巨塔の世界そのものである。
表沙汰になっているものもあるが、多くの事件が裏で示談となりうやむやにされている。 あなたの歯医者は、心配ない、痛くない、怖がらなくていいですよの繰り返しであろう。
なにかインプラントのデメリットを説明しても、それは歯医者自身の予防線として説明しているにすぎない。 手術は手術。
怖くて当たり前。 事実、治療が思うように行かず、苦しんでいる人、望んでいない裁判を起こさざるを得なかった人、そして不幸にも亡くなられてしまった人もいる。
いいことばかりでなく、よくないこと、起こりうる危険を前もって知っておくことは、インプラント手術を受ける上で大切な判定基準のひとつとなるだろう。 ここでは事件の大小にかかわらず、知っておきたいインプラント手術の事故、訴訟について触れてみたい。
2007年5月、東京都中央区のある歯医者、当時70歳。 患者Iは、当初10本のインプラトの埋入の予定であったが、今回初めてのインプラントの手術ということもあり、なんとなく心配であったため本数を減らし、まずは5本だけ埋大することにした。

その歯科医院はまるでホテルのようにきれいで、待合室には壁一面にフレスコ画、また、M時代のスピネット(鍵盤付きの楽器)も鎮座している。 Iさんはうれしそうに医院の様子を友人に語っていたそうだ。
Iさんが、その歯科医院を知るきっかけになったのが、週刊T記事にはこうある。 『歯科治療の最高峰であるインプラント。
これまでに手掛けたインプラント埋め入れ本数は2万7389本は、日本はおろか、世界でもナンバーワンの臨床実績として、日々記録を更が新している。 分院にあるオペ室は完全クリーンルームの設備を持ち、(中略)まさに「究める」とはこのことを言うのだろう。
(中略)「その方々は賢明だと思う。 濃厚な治療を受けることで短時間で歯を復元できるからだ。
」多いときは、2〜3時間かけて、いっぺんに20本を埋め入れることもあるという。 』Iさんは、この記事を読んで、ここでインプラント手術を受けることを決めた。
そして、手術の翌日、Iさんは搬送先の病院で息を引き取った。 死因は、『窒息』であった。
インプラントのドリルが動脈を損傷し、出血があったにも関わらず、インプラントを押し込んだ。 インプラントで蓋をされて外に出られない血液は、顎の下、首まわりに充満し、気道を圧迫し、Iさんを窒息死に至らしめた。

報道した週刊Aによると、始めこそ謝罪の言葉も聞かれたが、その端から、『自分は頚椎症のため、手のしびれやけいれんがあったからこうなったのかもしれません』ですと。 健康状態が悪かったなら、インプラント手術などやるべきではなかったはずである。
ここからはよくある話で、しばらくたって歯医者は音信不通になり、やむにやまれず、遺族が民事訴訟を起こすと、今度は一転、担当弁護士を通して、『予測不能だった』と、弁明した。 さすがナンバーワンの大先生だ。
つまり、今まで2万本も打ってるのに事故が起きたということは、それは事故ではなく、偶発症だというのだ。 また、頚椎症に関しても、首を上げれば痛む程度で、しびれやけいれんなどはなかったと言葉を換えている。
今の段階では、この事件は係争中である。 ちなみに、週刊Aの取材では、このI医師は医院のパンフレットに名前は出ていないものの、いまだこの歯科医院で治療をしているとのことだ。
計500万円。 これはUさん(仮名・62歳)がこれまでにインプラント治療につぎ込んだ額だ。
以前から歯に悩んでいたUさんは、2年前ついにインプラント治療をしようと決意し、評判を聞いて近くの歯科医院を訪れた。 数本、よくないところ、歯がすでにないところにインプラントをしようと思っていたが、Uさんの口の中を見たK歯科医師は、『いずれ悪くなるでしょうから、上の歯は全部インプラントにしませんか?20〜30年はもちますよ』と勧めてきたらしい。
耳を疑う話だ。 胃にピロリ菌がいるから、将来胃がんになるかもしれません。
なので、今のうちに胃を取ってしまいませんか。 あなたはタバコを吸うので肺がんになる可能性が高いから、そうなる前に肺を切除しましょう。
と言われているのと何ら変わらない。 ほんとなら、ここで疑って、ほかの歯医者でも話を聞いてみるなどしてもらいたかったところだが、地元の評判や歯医者の先生が言うことなのだからと信じてしまったのだろう。
少し話が外れるが、ここで1つ考えてもらいたいところがある。 これはある意味で間違いであろう。

Uさんは、K歯科医師から、上顎の歯をすべて抜歯し、インプラントにしましようと説明を受けた。 抜歯を決断したのは、ほかでもないUさんである。
勝手に抜かれたり、違う治療説明だったのにいきなり抜歯されたわけでもない。 つまり、『抜かれた』ではなく、『抜いてもらった』ではないか。
いくらその後の治療がうまくいかなかったからといって、なんでもかんでもやられた、私は被害者ですというのは話が通るまい。 話を戻そう。
麻酔をどんどん打ちながら、5、6時間かけて上の歯をすべて抜きました。 顔がフグのようにふくらんで、2日間腫れがおさまりませんでした。
何本の抜歯だったのかは、わからない。 麻酔をどんどんというのは、まあ、必要に応じてであったのだろう。
抜歯の本数が増えれば、当然それに応じて麻酔をしなくてはならない。 にしても、5、6時間はかけすぎだ。
フグのように腫れたというのがどれほど腫れたのかはわからないが、かかった時間、術後の様子から、とにかく下手だったのだろう。 評判のいい歯医者というのは、得てしてこういうことがある。
というのは、実際のところ、患者には治療の上手下手はわからないので、要は、人当たりのいい歯医者、愛想のいい歯医者というのが、世の中ではいい歯医者ということになってしまっているようだ。 つまり、いい歯医者=上手い歯医者ということだ。

また、患者は、早い=上手い、痛くない=上手いと思っている節がある。 これもまた、大きな間違いである。
早い歯医者は100人いたら、90人は手抜きと見ていいだろう。 そして、多くの痛くない歯医者は、治療しているふりだけで、本当に治療しないといけないぎりぎりの深さまでは手を出さない。
たとえば、根の治療でも、しっかりと治療するためには根の先端まで器具を挿入しなくてはならないが、その場合、多少の痛みが出ることが当然ある。 これは失敗したとか、下手とかいうのではない。
しっかりと治療しているが故に出る痛みであるにもかかわらず、これをやると患者には下手な歯医者と思われてしまう。

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